勘兵衛猫




kan.jpgある昔、関山の勘兵衛さんは、白河の”おせり”に行った帰り道、あたりはもう夕暮れていました。

関山のすぐそこまで来ると、近くにあるお堂がなにか騒がしい。この中をのぞいてみると、なんと猫どもがニャンニャンしゃべっていました。



勘兵衛さんは身を潜め、じっとを傾けと・・・「勘兵衛猫の親方来なくて、調子でねぇな」と猫の話声

勘兵衛とはおれのことだ。おれんちにも猫がいる、だいぶ老けているが肥えていて、貫祿あるうちのねこか。
と思った勘兵衛さんは、また、耳をすませました。

「来た来た、勘兵衛猫が来た。」見覚えのある手ぬぐいをほっかぶり、湯文字をつけた大きな猫がお堂の縁側に上がった。

「どうした、遅かったじゃねぇか。」「すまねぇ、今晩うちでなぁ、熱い団子汁だったもんでフウフウしたが熱くて食べられなくって、それでおくれたんだ。」「さぁ、はじめるか。勘兵衛猫が来れば、調子そろっておもしれぇ」

猫どもは縁側で踊り狂いました。
これを見て驚いた勘兵衛さんは急いで家に帰り、猫をさがしました。
が、どこにもいません。猫はそれっきり、勘兵衛さんの家には帰って来なかったとか・・・・。






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